|
はじめに 上七軒文庫とは |
上七軒文庫は、北野・西陣エリアの京町家を拠点とする「私塾」として、講義などを行ってまいります。
近年、大学を中心とした学術研究環境、特に人文学の研究環境は、厳しい状況が続いております。短期的な成果を求める「実学」が称揚され、大学に「即戦力」のみが求められる一方、古典の読解などを中心とした人文学は「役に立たない」学問というレッテルを貼られるようになりました。大学が税金などの公的資金によって運営されている以上、ある程度しかたがないのかもしれませんが、このままでは先人から受け継いできた人文学の伝統が途絶えてしまうのではないか、という危機感を私たちは持っております。
一方で、歴史を振り返ってみると、現在の人文学の前身に当たる諸学が学ばれ、研究されてきたのは、寺院や私塾など、公的機関ではない場が大きな担い手となっていました。上七軒文庫は、人文学を後世に伝えるバイパスとしての役割を果たせないか、と考えております。
また、上七軒文庫では明治40年頃に西陣織の機織り工場として建てられた織屋建(おりやだて)の京町家を大幅な改築はもとより、内装についてもリフォームやリノベーションを施すことなく、あえてそのまま使っております。
西陣織の工場としての役目を終えたのちも生活の場として使用され続け、産業構造や家族のあり方などが変化するなか、京の町とともに歳を重ねてきた町家の姿をそのままご覧いただくことで、京都での生活や京町家の「保存」のあり方について想い巡らせていただければ幸いです。
[運営会社] 上七軒文庫合同会社 〒602-8382 京都市上京区末之口町448番15号
|